とどまる影 — 二人展

2020.03.06 — 04.05
寬芸術空間
台中,台湾
視覚と記憶の暫留。
荘道明と詹荘軒、二人の作品には、どこかに落ちてきたような断片が存在する。降り積もる裂痕の線をたどれば、彼らの生活経験へと遡り、そこに沈殿した、まだ消えずに残っている記憶へと行き着く。
二人の絵画は、自然と生命に刻まれた傷痕や郷愁を拾い上げている。四季のめぐりとともに、次の花の季節が訪れ、また新しい一年へと移ろう。作品に光を放つ樹木、哀しみと華やかさを抱えた花、かすむ風景——そこには、逃れようとする記憶、生命を揺さぶる瞬間、精神の故郷を失う感覚が折り重なり、一幅の風景となって現れる。空間と時間を行き来しながら、それは「置き去りにされた文明」と呼べるかもしれないし、「残された生活の断片」と言うこともできる。
その破れや不完全さゆえに、断片は再び組み直され、永遠へとつながる別の名前を得るのである。